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とうとう『レトリック事典』の刊行に辿り着いた。今朝の朝刊に広告が載っていたので、気がついている人も少なくないかもしれない。嬉しい。非常に嬉しい。本当に嬉しい。狂喜乱舞というのとは違うのだけれど、長年の懸案事項に決着がつき、兎にも角にも、開放されたような気分。ということは、君は今までは自由ではなかったのかい、と問われたら、そんなこともないのだけれど、何だかんだいって、頭の上に大きな漬け物石でも乗っかっているような感じがしていたのだ、ずっとずっと。ずっと。
佐藤信夫がこの『レトリック事典』の構想をいつ思いついたのか、本人がこの世にいない以上、正確なことはわからないけれど、かなり以前だったことはまちがいない。事典のための資料集めは二十代半ばには始めていたようであるし。そういう意味では発想から実体化するまでに半世紀もかかった作品だと言えなくもない。
こんなことをここに記すのも何だか変な気がするけれど、勢いで書いておくと、最後の手術に向かう際にも、彼が最も気にしていたのは『レトリック事典』のことだった。ふむ。