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知人が亡くなった。癌が転移した末期の状態であるということは本人から聞き及んでいたのだけれど、つい先日会った際には頗る元気であるように見えたもので、突然の死の訪れは少なからず衝撃的である。酒を断ち、治療にそれなりに専念していたせいか、未だ嘗てないほど健やかに見え、その発言のポジティヴさも未だ嘗てないものだった。その夜、一緒に過ごした数時間、彼が末期癌を抱えていることをすっかり忘れてしまったほど。
その席で、音源素材のCDを作るからつきあえよ、と言われ、私の音楽が役に立つのならば、と快諾。その後の何度かの電話でのやり取りでも、強い薬の副作用で熱が出るので落ち着いて打ち合わせできないんだよね、などと口にしながらも、相変わらず前向きな精気を漂わせていたのになあ。そのプロジェクトに向けて頭の中で渦巻き始めていたアイディアが出口を失ってしまった。